炎上 (1958)

三島由紀夫の「金閣寺」の映画化で、驟閣という美に憑かれた男を描く異色作。

監督:市川崑
出演:市川雷蔵、仲代達矢、新珠三千代、中村鴈治郎、浦路洋子・中村玉緒・北林谷栄・信欣三

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https://youtu.be/Yov8he-lOuQ

炎上 (1958)のストーリー

溝口吾市(市川雷蔵)は、父の遺書を携えて京都の驟閣寺を訪れた。昭和十九年の春のことである。彼は父から口癖のように、この世で最も美しいものは驟閣であると教えこまれ、驟閣に信仰に近いまでの憧憬の念を抱いていた。父の親友でこの寺の住職・田山道詮老師( 中村鴈治郎 )の好意で徒弟として住むことになった。

昭和二十二年、戦争の悪夢から覚めた驟閣には、進駐軍の将兵を始め観光客が押しよせた。静かな信仰の場から、単なる観光地になり下ってしまったのだ。ある日米兵と訪れ戯れる女を、溝口は驟閣の美を汚す者として引ずりおろした。二十五年、溝口は古谷大学に通うようになり、そこで内翻足を誇示して超然としている戸苅( 仲代達矢)を知った。彼は、驟閣の美を批判し老師の私生活を暴露した。一方、溝口の母あき( 北林谷栄 )は、生活苦から驟閣寺に住みこむことになった。溝口は反対した。父が療養中、母は姦通されたことがあるからだ。この汚れた母を、美しい驟閣に近づけることは彼には到底出来なかったのである。口論の挙句、街にさまよい出た溝口は、芸妓を伴った老師に出会った。戸苅の言ったことは、真実であった。彼は小刀とカルモチンを買い、戸苅から金を借りて旅に出た。故郷成生岬の断崖に立ち荒波を見つめる溝口の瞼には、妻に裏切られ淋しく死んでいった父のダビの青白い炎が浮んだ--。挙動不審のため警察に保護され、連れ戻された溝口を迎えた、母と老師の態度は冷かった。彼は、自分に残されているのは、ただ一つのことをすることだけだと思った。溝口はふるえる手で、 驟閣 の中で三たびマッチをすった。白煙がたちのぼり、その中から赤い透明の焔が吹き上った。美しくそそり立つ驟閣が、夜空をこがして炎上する。その美しさに溝口は恍惚とした。--国宝放火犯人として検挙された溝口は、頑として尋問に答えなかった。実施検証で焼跡を訪れた。が、そこに見出したのは無惨な焼跡だけだった。汽車に乗せられた溝口は、便所へ立った、少しの油断を見て、彼は自らの体を車外へ投げ出した--。

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